Life Report<候補地選び>
で、どうして沖縄なのか、と言う話ですが *** どうして沖縄なのか、と理由を聞かれると正直困ってしまう。たいてい「だって暖かそうじゃないですか」とかなんとか言ってごまかしているのだが、要するに正面から人を納得させられるような理由はないのだ。まあこの話自体ずいぶん唐突に決めたことなので、僕たちの中でさえ、今でこそ落ち着いてきてはいるものの、あの一歩を踏み出した瞬間から、実に長い時間をかけていろいろなことに説明をつけてきたのだ。 候補地は他にもいくつかあったのです 新しく生活を始めるにあたり、僕たちなりにいくつかの条件というか、こうしたいという希望があった。わざわざ今の生活を放棄してまで新しい生活を始めるからには、自分たちが納得のいくものにしなくては意味がないのだ。 まず始めに、無理をせずに自分達のペースでやれる環境が欲しかった。そのためには、あまりに都会すぎても僕達のリズムに合わないような気がした。それから(これは僕にとって非常に重要なのだが)なんとしてでも海の近くに住みたかった。これまで以上にサーフィンをしたいというのは少々ぜいたくだとしても(以前は海まで歩いて行ける場所に住んでいた)、せめて毎日海へ通える範囲に暮らしていたい。きれいな海があって、温かい人間がいて、そんな、僕達と将来の家族がこの先長く暮らしていける場所でありたいと思った。 実際に沖縄が候補に挙がったのは、意外と遅くになってからだったと思う。 きっかけはたぶん僕が思いつきで妻に話したのだろう。まただ。僕の思いつきと、妻の食いつきはまるで恐れを知らない。沖縄にはきれいな海があって、人も気候もあたたかい。その魅力にあこがれて本土から移住して行く人もたくさんいるらしい、とかなんとか言って妻の興味をちくりちくりとつついたのだ。 この頃の僕達は、ただ漠然と会社を辞めてどこかへ移る、ということだけははっきり決めていたのだが、そこから先には一向に話が進まなかった。今思うと、お互いに少しあせっていたのかもしれない。そんな僕達の間に生まれた、焦りと不安で少し乱れていた領域に「沖縄」はすごく自然に入り込んできた。たぶん不安を期待で押しつぶしたかったのだろう。 いいんじゃないか、沖縄。暖かそうだし、楽しそうだし。 こうして僕達はほのぼのと人生の方向付けをした。 |
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